トップページへ戻る

リンク | サイトマップ

高血圧グループ

≪メンバー≫

阿部 高明 Takaaki Abe, MD phD(医工学研究科 教授、高血圧グループ責任者)
鈴木 健弘 Takehiro Suzuki, MD phD(医工学研究科 特任准教授)
三島 英換 Eikan Mishima, MD phD(助教)
松橋 徹郎 Tetsuro Matsuhashi, MD(特任研究員、小児科から出向)
南都 文香 Fumika Nanto, phD(特任研究員、農学博士、器官解剖学所属)
何  欣蓉 Ho Hsin-Jung, phD(特任研究員、農学博士)
菊地 晃一 Koichi Kikuchi, MD(大学院生)
及川 善嗣 Yoshitsugu Oikawa, MD(大学院生・小児科から出向)
秋山 由雅子 Yukako Akiyama, MD(大学院生・腎グループから出向)
(社会人大学院生、医工学)
鈴木 千登世(技術補佐)
串畑 秀美 (事務員・秘書)
また、医学部の学部生の方々も当グループで研究に取り組んでおります。

≪海外留学中≫
豊原 敬文(Harvard University)
秋山 泰利(Harvard University)

≪OB≫
橋本 潤一郎(宮城教育大学 教授)
竹内 陽一 (石巻赤十字病院)
島  久登 (川島病院、徳島)


≪メッセージ≫
基礎研究から臨床研究まで幅広く研究に取り組んでおります。 他科や国内外の研究室と積極的に共同研究を行っており分野を超えた幅広い知識を身につけることができます。 豊富な研究手法で自分のアイデアを様々な研究に発展させることができます。 海外の研究室との交流も多く、メンバーはアメリカの一流の研究室に留学しており国際的に活躍しています。 私たちの研究内容に興味のある方は気軽にご連絡ください。研究の楽しさ、苦しさを分かち合いましょう!

*こちらも御覧ください 阿部高明研究室 http://plaza.umin.ac.jp/~takaabe/

≪研究内容≫

キーワード: 慢性腎臓病(CKD)、尿毒素、ミトコンドリア病、腸内細菌叢、tRNA、バイオマーカー、尿細管トランスポーター、高血圧性臓器障害


≪基礎研究≫
当教室では歴史的に腎臓の尿細管における電解質などの物質輸送の研究も盛んに行われてきました。その歴史を背景に我々のグループでは尿細管の有機アニオントランスポーターSLCO4C1の同定を行い(PNAS 101; 3569, 2004)、このSLCO4C1は慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)の際に体内に蓄積する尿毒素の尿中排泄に寄与することを明らかにしました(JASN 20; 2546, 2009)。さらに尿毒素に着目し研究をすすめ、尿毒症物質に分類される多数の生体内代謝物を網羅的に同定し(Hypertens Res 33; 944. 2010、CEN 15; 676, 2011)、薬剤介入による尿毒素の変化(Toxins 4; 1309, 2012)、尿毒素自体がSLCO4C1に与える影響も明らかにしました(PLoS One 8; e66518, 2013)。 また尿毒素の解析の過程で見つけ出した1-メチルアデノシンという修飾核酸の一種が新たな組織障害バイオマーカーとして有用であることを見出しました(JASN 25; 2316, 2014)。さらに代表的な尿毒素は腸内細菌叢が産生することに着目し、CKDで悪化する腸内環境を改善させることがCKDの進行を抑制することを示し(JASN 26; 1787, 2015)、この腸管と腎臓の連関「腸腎連関」の解明に取り組んでおります(Kidney Int. 2017 PMID:28396122)。
 また尿毒症物質を解析する過程で内因性インドール化合物群の一部にATP産生亢進作用があることを見いだし、その化合物誘導体として「MA-5」(=Mitochonic Acid-5)というミトコンドリアのATPを増加させる新規化合物を合成開発し、ミトコンドリア病の新規治療薬候補となる可能性を見つけました(JASN 27:1925,2016、Tohoku J Exp Med 236; 225, 2015、EBioMedicine 2017;20:27)。また同じくインドール化合物のスクリーニングから「MA-35」という別の化合物に臓器の線維化抑制作用が有ることも報告しました(Sci Rep. 7:1884,2017)。
 腎臓の尿細管機能と疾患の研究では、Mgイオン輸送体SLC41A1が遺伝性腎疾患ネフロン癆の新規病因遺伝子であることを国際共同研究として同定し(JASN 24; 967, 2013)、エクソンスキップ型遺伝子変異によるGitelman症候群の新規病態発生機序(JASN 26; 271, 2015)なども明らかにしてきました。


≪臨床研究≫
当グループでは基礎研究と臨床研究を両輪と考え並行して相互に進展させております。尿毒素やミトコンドリア病の研究では臨床検体(血液、尿、皮膚由来細胞)を使用した研究も行っています。また当科では高血圧疾患の中でも腎動脈狭窄、高血圧緊急症、悪性高血圧、妊娠高血圧症などの疾患が県内含め東北各地からも集まる施設でもあり、これら高血圧疾患の多くの患者さんの治療経験をもとに臨床研究もすすめております。

以下はこれまでに発表した我々の研究データの一部です。

1. 尿毒素をターゲットとした新規CKD治療法の開発

尿毒素の排泄過程において有機アニオントランスポーターSLCO4C1は尿毒素を近位尿細管細胞に取り込みこれをさらに別のトランスポーターMDR1が尿中に排泄すると想定されています。  つまりSLCO4C1は 尿毒症物質排泄経路における「入り口」の役割を担っていると考えられています。 しかしながら腎不全になるとSLCO4C1の発現が低下してしまうため、尿毒素の排泄が不十分になり、蓄積した尿毒素により腎機能がさらに悪化するという悪循環が形成されてしまいます。  ヒトSLCO4C1を腎臓のみに強制発現させたトランスジェニック(TG)ラットの解析から、腎不全時にTGラットは尿毒素の血中濃度が有意に低く、その結果TGラットはコントロール群に比較して高血圧、心肥大、腎臓の炎症が軽減し、生存率も改善傾向となることが明らかとなりました。 これらの結果から SLCO4C1が新たなCKD治療のターゲットとなる可能性が示唆されました。(文献10,11参照)



慢性腎臓病は腎臓の機能が進行的に低下していく病態ですが、現時点では進行を十分に抑制することが困難です。 近年、腸内環境が腎臓病の病態に関与し、慢性腎臓病についても影響を与えていることが注目されております、我々はこの腎臓と腸管の臓器連関「腸腎連関」の解明に取り組んでおります。 これまでの研究から、便秘症治療薬であるルビプロストンが腎機能の悪化に伴って変化する腸内環境を改善させることにより、体内の尿毒素蓄積を軽減させ、その結果腎臓の障害進行を抑制する効果があることをマウスを用いた実験で明らかにしました(文献6)。 また腸内細菌叢を全く有さない無菌の腎不全マウスをメタボローム解析することで尿毒素蓄積における腸内細菌叢の体系的な関与を明らかにしました(文献3)。



2. ミトコンドリア病治療薬の開発

尿毒症患者の血中の腎不全物質を解析する過程で、ある種の内因性インドール化合物群にはATP産生亢進作用があることを見いだし、その化合物誘導体ライブラリーをスクリーニングした結果、ミトコンドリア病患者の皮膚線維芽細胞の生存率を上昇させ、細胞内ATPを増やし、酸化ストレスも減少させる新規薬剤化合物「MA-5 (=Mitochonic anid-5)」を同定しました。 MA-5をミトコンドリア機能異常症マウス(Mitoマウス)に投与すると、心臓や腎臓の細胞内呼吸が改善し(図)、生存率が上昇することが明らかになりました。(文献4,5)。またその作用機序としてMA-5はミトコンドリア内のミトフィリンと結合しATP合成酵素複合体の形成を促進することでATP産生を活性化することを報告しました(文献1)。 また、同じくインドール化合物ライブラリーのスクリーニングから「MA-35」という別の化合物には、腎臓や肝臓の炎症と線維化抑制効果があることを見出しました(文献2)。





3.tRNA代謝変化にもとづく組織障害バイオマーカーの開発 転移RNA(tRNA)内の構成成分である「1-メチルアデノシン」とよばれる修飾核酸に着目することで、細胞内の転移RNA(tRNA)は酸化ストレスによって細胞がダメージをうけた時、構造が変化すること、そしてそのtRNAの変化を検知することが細胞や組織のダメージ、さらには一般住民の予後を反映する新しいバイオマーカー(身体の状態を知るうえで定量的な指標となる物質)となることを発見しました(文献8,9)。



その他にも様々な研究が進行中です。


≪主な成果論文≫

1.Matsuhashi T, et al. (corresponding) Abe T. Mitochonic Acid 5 (MA-5) Facilitates ATP Synthase Oligomerization and Cell Survival in Various Mitochondrial Diseases. EBioMedicine. 2017;20:27-38
2.Shima H, et al. (corresponding) Abe T. A novel indole compound MA-35 attenuates renal fibrosis by inhibiting both TNF-α and TGF-β1 pathways. Sci Rep. 2017;7:1884
3.Mishima E, Fukuda S, et al. (corresponding) Abe T. Evaluation of the impact of gut microbiota on uremic solute accumulation by a CE-TOFMS-based metabolomics approach. Kidney Int. 2017 PMID:28396122
4.Suzuki T, et al. (corresponding) Abe T. Mitochonic Acid 5 Binds Mitochondria and Ameliorates Renal Tubular and Cardiac Myocyte Damage. J Am Soc Nephrol. 2016 ;27:1925-32
5.Suzuki T, et al. (corresponding) Abe T. Mitochonic Acid 5 (MA-5), a Derivative of the Plant Hormone Indole-3-Acetic Acid, Improves Survival of Fibroblasts from Patients with Mitochondrial Diseases. Tohoku J Exp Med. 2015;236:225-32
6.Mishima E, Fukuda S, et al. (corresponding) Abe T. Alteration of the Intestinal Environment by Lubiprostone Is Associated with Amelioration of Adenine-Induced CKD. J Am Soc Nephrol. 2015;26:1787-94
7.Takeuchi Y, et al. (corresponding) Abe T. Exonic mutations in the SLC12A3 gene cause exon skipping and premature termination in Gitelman syndrome. J Am Soc Nephrol. 2015;26:271-9
8.Mishima E, et al. (corresponding) Abe T. Immuno-Northern Blotting: Detection of RNA Modifications by Using Antibodies against Modified Nucleosides. PLoS One. 2015;10:e0143756
9.Mishima E, et al. (corresponding) Abe T. Conformational change in transfer RNA is an early indicator of acute cellular damage. J Am Soc Nephrol. 2014;25:2316-261
10.Akiyama Y, et al. (corresponding) Abe T. Indoxyl sulfate down-regulates SLCO4C1 transporter through up-regulation of GATA3. PLoS One. 2013;8:e66518
11.Toyohara T, Suzuki T, et al. (corresponding) Abe T. SLCO4C1 transporter eliminates uremic toxins and attenuates hypertension and renal inflammation. J Am Soc Nephrol. 2009;20:2546-55
12.Mikkaichi T, Suzuki T, et al. (corresponding) Abe T. Isolation and characterization of a digoxin transporter and its rat homologue expressed in the kidney. PNAS. 2004;101:3569-74

≪症例報告のススメ≫

当グループでは、MDの先生方(特に若手の先生)には症例報告の英語論文を書くことも積極的にすすめております。当科医師の指導により初期研修医の先生でも筆頭著者で英語論文の報告をしています。


≪症例報告の論文執筆をすすめる3つの理由≫
1. 論文の書き方の勉強になる
基礎研究の論文も症例報告も基本的な論文骨格は同じです。その症例/実験結果を通じて医学的/科学的になにが還元できるかを明文化する作業です。症例報告を簡潔かつクリアにまとめるスキルは、多くのデータから構築されるような原著論文を書き上げるためにも役に立ちます。

2. 臨床力・研究力の向上になる
症例報告をする過程で多くの知識(経験的、文献的ともに)を得ることができます。その繰り返しから、日常診療の中でも病態をより深く洞察し知識を習得する能力が身につきます。若手の内に、自らが経験した臨床の疑問や発見を論文化するスキルを身につけておくことをおすすめします。

3. 世界に向けて発信することは新たな知見の進展につながる
新たな疾患概念や新規治療法は少症例の報告から生まれることもあります。
予想外の所見/実験結果を大事にすることが新たな臨床的/基礎的発見につながる可能性があります。


≪当グループからの最近の症例報告論文≫

1. Mishima E et al. Acute Kidney Injury from Excessive Potentiation of Calcium-channel Blocker via Synergistic CYP3A4 Inhibition by Clarithromycin Plus Voriconazole. Intern Med. 2017;56:1687-1690 Ca拮抗薬とCYP3A4を介した薬剤相互作用による急性腎傷害
2. Mishima E et al. Selective embolization therapy for intrarenal artery stenosis causing renovascular hypertension: Efficacy and follow-up renal imaging. J Clin Hypertens (Greenwich). 2017. doi: 10.1111/jch.13040 カテーテル治療困難な分枝型腎動脈狭窄をエタノール塞栓で治療
3. Mishima E et al. 'Lead pipe'-like stiff aorta with grossly widened pulse pressure in burned-out Takayasu arteritis. Eur Heart J Cardiovasc Imaging. 2017 doi: 10.1093/ehjci/jex047 鉛管のように大動脈が高度に石灰化した陳旧性高安動脈炎
4. Mishima E et al. Serious Hypocalcemia After Withdrawal of Vitamin D Analog in Bedridden Nonagenarians with Previous Thyroidectomy: A Report of Two Cases. J Am Geriatr Soc. 2016;64:1374-6 甲状腺手術既往を持つ寝たきり高齢者にビタミンD製剤を中止する際の注意
5. Mishima E et al. Prelude to Takotsubo cardiomyopathy: subclinical progression of antecedent myocardial ischaemia prior to symptom onset. Eur Heart J. 2016;37:2845 たこつぼ心筋症の発症過程を偶然にもホルター心電図で記録:繰り返す心筋虚血再灌流が発症に関与か
6. Endo S. et al. Periodontitis-associated septic pulmonary embolism caused by Actinomyces species identified by anaerobic culture of bronchoalveolar lavage fluid: a case report. BMC Infect Dis. 2015;15:552 虫歯による敗血症性肺塞栓: 肺胞洗浄液培養により起因菌を同定
7. Mishima E et al. Detection of Segmental Renal Ischemia by Diffusion-Weighted Magnetic Resonance Imaging: Clinical Utility for Diagnosis of Renovascular Hypertension. J Clin Hypertens (Greenwich). 2016;18:364-5 腎動脈狭窄による腎虚血を拡散強調MRIで評価
8. Mishima E et al. Impact of Small Renal Ischemia in Hypertension Development: Renovascular Hypertension Caused by Small Branch Artery Stenosis. J Clin Hypertens (Greenwich). 2016;18:248-9 腎臓全体のわずか5%の領域の虚血でも高血圧の原因となる
9. Mishima E et al. Posterior reversible encephalopathy syndrome treated with renin-angiotensin system blockade. J Neurol Sci. 2015;355:219-21 高血圧性可逆性白質脳症に対するRAS阻害薬の有効性

- Top | Home -