東北大学

東北大学大学院医学系研究科
腎臓内科学分野
東北大学病院 腎臓・高血圧内科

研究グループ紹介

~新たなる発見、最先端の医療をめざして~

腎臓グループ

 東北大学の腎グループは約60年の歴史があり、基礎医学や治療薬の進歩、疾病構造や医療・社会の変革の中で変わらずに発展し、同門の先生方が各所で腎臓内科の核となって活躍しています。腎臓病は症状がないためCOVID-19で受診抑制の傾向がでるのではないかと懸念していましたが、2020年以降も当院の腎生検実績は2019年のレベルを上回っていますし、全国的には腎臓病啓発のメディア戦略も強化されています。腎臓への関心が高まっている今、ともに腎臓学の研究、腎臓病患者の診療を通じて腎臓病の克服を目指していきましょう。

 我々の研究や専門研修における、持続可能な開発目標(SDGs)とダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)推進への取り組みをはじめに述べます。
 SDGsには17の目標があり、そのうち、Goal3 健康的な生活の確保、Goal4 質の高い教育をみんなに、Goal5 ジェンダー平等を実現しよう、の3つを意識して活動しています。Goal3は研究や診療がもたらす健康的な生活への貢献はもちろん、2020年以降のコミュニケーションスタイルや社会がどう変わろうとも、メンバーの健康的な生活は必須です。
 そして、Goal4とGoal5は言い換えればDEIの推進です。
 これは、2022年4月に発出した「東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)推進宣言」の理念に基づいています。男女共同参画の更なる推進と、多様性、公正性、包摂性を理念として掲げた宣言を発出しておりますので詳細はこちらをご覧ください: http://tumug.tohoku.ac.jp/dei/
 私たちは、東北大学内の一つのチームとして、たとえば大学や関連病院での専門研修あるいは専門医取得後の研鑽、研究活動において自身のキャリアデザイン、あるいはライフイベントなどの多様性を尊重し、もっとも力を伸ばせる環境を一緒に考えていきます。男女を問わず、他大学の卒業生、東北大関連病院以外での研修を修了した先生方誰もが歓迎、支援、評価される組織を実現しています。メンバーの多様性はチームの力の源です。

次に腎臓学の領域ごとにご紹介します。
 腎臓医は全身を診ているという表現がよくつかわれますが、まず、腎臓の病理診断について紹介します。病理組織はある意味「静止画」ですが、腎臓だけでなく患者の全身で起こっている事象が表れています。形態を読み取り、臨床像から適切な治療計画につなげます。
 私たちは年間150例程度の腎生検を実施し、関連病院での腎生検診断を300例程度受託しています。これらは若手・中堅が初期診断を担当し、指導医、病理医の指導・承認を経て診断報告が完成します。若手の先生方に聞きますと、腎病理が面白いという先生と苦手だなという先生とがいらっしゃいます。後者であっても、患者を診て腎組織を見ているうちに、苦手意識は消えていきますので心配は要りません。腎病理が好きで腎臓を目指そうと思う方は腎病理をテーマにした研究活動に進むことができます。
 我々のもう一つの強みは、内分泌、二次性高血圧、膠原病、糖尿病、がん治療、臓器移植など、全身疾患やその治療が腎に及ぼす影響を経験し、先進的な診療科との幅広い院内連携ができることです。院内で各科の先生方と患者の問題点や診療内容を共有し、時には顔を合わせて意見を交換することで築かれたネットワークは、領域別専門研修を深めるだけではなく当院で得られる一生の財産です。
 腎代替療法の選択は患者にとって最適の方法を提案することです。当院で腎代替療法の必要な急性腎障害は年間約80例、末期腎不全患者は約60例ですが、治療法を選択・実施する場合にその決定に苦慮する場合があります。高い医学水準に加えて、何に重きを置くのかという価値観に共感する力も必要です。これに対しては各科、多職種参加に加えて医療倫理や医療安全の体制が充実していて、十分なサポートが得られることは当院の強みです。この過程は若手にとって大きな成長につながります。
実験を中心とする研究活動には、ヒトの腎疾患、モデル動物における病態とバイオマーカー・蓄積する尿毒症物質に関する研究を、薬学研究科臨床薬学、医学系研究科分子内分泌学などと共同で進めています。2022年3月に田中哲洋教授が着任いたしました。田中教授がこれまで行ってきた低酸素と腎障害に関する研究をさらに発展させる研究計画を加速するには、若手の力が欠かせません。一緒に研究する新しい仲間を広く募っています。
 臨床研究には上述の当グループの強みを生かした腎生検材料を用いたAIやバイオマーカーに関する研究や、多施設の腎臓内科等との共同研究、コホート研究、産科や呼吸器科など院内他科と連携した臨床研究があります。これらの視点は忙しい臨床、診断や治療に苦慮する中で生まれてきたアイデアに基づくものが多いです。
 腎臓は身体の恒常性を高度に制御する臓器です。未知の領域も多く、研究に興味がある、あるいは腎臓病患者を診ることが面白い、と感じた方はどうぞお気軽にお問合せください。

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